あの映画も題材に!撮影術の指南書「filmmaker’s eye」レビュー
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「filmmakers eye」 グスタボ・メルカード 著
この本の背表紙にこんな文言が書いてたんです。もうね。こんな事言われたら気になるに決まってるます。笑
で。速攻で買って、読了しました。結論から言うと1つ1つのショットの意味を「なるほど」って落とし込んでくれて、めちゃくちゃ興味深かくて面白かった。構図の事とかで、なんとなく感覚的に受け止めてた事を、理論立てて理解させてくれる本。
間違いなく、映像クリエイターが一度は読むべき教本です。
この本は基本的に
『あらゆるショット』を
・効果
・構図
・レンズ
・フォーマット
・ライティング
・ルールを破る
の6点から分析してて、専門的なアプローチが基礎を占めてたけど、結構分かりやすくて読みやすかったです。だから、そこまで専門的な知識がなくても読めるはず。
ただ、ぶっちゃけ個人的には「フォーマット・ライティング」に関しては「ふーん」って感じで読んだ部分も多いのも事実です(笑)フォーマットは、単純に著者と自分のイメージしてるモノが合致してるのか分からないって事と、ライティングは、スケールが大きい話が多かったから(笑)
こんな感じでザッと読んでみて、自分自身が感じたことを綴って行こうと思います。
映画のワンシーンを題材に解説
この本の大きな特徴はコレです。サブタイトルに「映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則と破り方」って書いてるんです。その辺の難しい専門書みたいに、図や文章だけで解説してるんじゃなくて、取り上げたショットが使用された代表的な映画のワンシーンを題材にしてくれるから、めちゃくちゃ理解しやすいんですよね。
文章を読んでる時は「んー。どういう事や。」ってなっても、その写真を見れば「なるほどなー」と落とし込んでくれるんすよ。多分、著者のグスタボさんはめちゃくちゃ親切な人だと思う。。笑
しかも、その写真を単純に切り取って説明するんじゃなく、その写真に映る人の「そのシーンにおける心境」などを軸に解説されてるんでかなりイメージしやすいんです。その映画を見てない人でも、そのショットや構図を使った理由がスッと入ってくる。
ショットの種類も豊富で、「ミディアムショット」とか「クローズアップショット」とか聞き覚えのある名前のショットから、「ダッチアングルショット」とか「エスタブリッシングショット」とか聞いたことも無いようなショットまで幅広く取り上げられてて、それを映画製作業界の超プロから「著名な映画を題材」に説明してもらえるのはかなり貴重な事だと思う。
ちなみに「難しそうな名前やなー」って思ってたのが、意外と馴染みあるショットやったりしたのがまた勉強になります。あ、「アナタそういう名前やったのね」的なやつです(笑)
構図の原則など基礎的な事も教えてくれる
ショットの意味を教えてもらうにしても、基礎的な事が分かってないと理解できないと思うかもしれないけど、この本では最初に「基礎的な部分」にも触れてくれてます。
例えば、構図における基礎知識の「三分割法」やら、カメラの「被写界深度」とかまで、簡潔に分かりやすく説明されてるから、これから映像制作始めたいと思ってる人でも読める内容になってます。
しかも、上に同じく所々「映画のワンシーン」を用いて説明してくれてるっていう、相変わらずの親切さも発揮してます。「頭の良い人は説明が分かりやすい」ってのはマジですね(笑)
「映画」だけでなく、あらゆる「映像制作」に活かせる
今まで話してた内容やったら、なんとなく「映画」を撮るための撮影術じゃない?って思ってまうかもしれないけど、別にそんなことなくて僕自身のフィールドである「PR動画制作」やら「MV制作」にまで活用できる撮影術がそこにはあります。
なぜなら「伝えたい事を伝える」ってポイントにおいては、どの映像制作業界でも同じだからって事で僕は解釈してます。
「なぜ、そのショットを使うのか?」
それは「伝えたい事を伝える為」に他ならないからなんだなと。それが直接的であれ間接的であれ。もしくはそれが布石だったとしてもそうです。
この「filmmakers eye」を読んで、改めてその事を確認できました。あと、最初にも触れたけど、この本を読むまでは「なんとなく」だった事を「理論」として少しだけだけど理解を深めれたと思います。映画の見方も少しは変わるかも。笑
だから、この本は本当にオススメです。映像クリエイターだけじゃなく、映画が趣味の人にとっても面白い作品かなと。値段としては「3600円(税抜)」と本としてはまずまずの値段だけど、それ以上の価値はあるはずです。
ワンランク上の画作りをしたいなら是非一度読んでみて欲しいです。