「感動」とか「美しさ」の正体ってなんだろう。
「感動ってなんだろう」
「美しいってなんだろう」
先日、公開させていただいた『瓢亭 | Hisagotei』を制作している時、僕はずっとこの言葉を頭の中で連呼していた。
クリエイターとか作家とか、モノを創る人の呼び名は沢山あるけど、そういう人たちの中で共通しているテーマがあるとしたら、それは「感動」とか「美しさ」だったりするんじゃないかな。少なくとも僕はそうだ。というか、そうでありたいと思ってる。
でも、その正体が僕には分からないから、それを探しながら制作する事にした。多分、今までもずっと探していたんだけど、それを見て見ぬふりをしたり、何かわかりやすい事で誤魔化したりしていたような気がする。今までがそう感じるほど、今回の撮影は自分の中で純度の高いモノだったと思う。
今回の撮影をするために、お店には何度も足を運ばせていただいた。
店内に入ると、とんかつ屋さんならではの油の匂いと、綺麗に整頓された座席、生真面目に働く従業員さん達の姿が目に入る。そんな姿、ありのままの姿を僕は映したくてカメラを回した。色々邪魔に思うこともあったかもしれないけど、そこは厚かましく撮らせていただいた。
撮影が終わると、店主の西川さんとその娘さんと3人で近くの喫茶店で話をしたりした。撮影終了まで4回も。
実は、その娘さんは個人的にも親交のある人で。その人の仕事はデザイナーで、仕事を一緒にしたこともあって、今回の撮影でも色々と頼らせていただいた。日本人なのにジュディってあだ名の面白い人。
ちょっと話が逸れてしまいました。笑
喫茶店では、昔の話や最近の出来事。好きな映画や病気の話。他愛もない、普通の事のように思えるけど、僕にとってはそんな時間が新鮮でありがたかった。照れ臭そうに笑う親父さんと、無邪気に話す娘さん。帰りに晩ご飯のおかずを買う二人の姿が、とても印象的に残っている。
普通の日常。当たり前の風景だと思う。でも、そういう瞬間も過去になって、いつかはまるで無かったことの様になるんだけど。人と話したりしながら、そうやって思い出したりする瞬間って、なぜか笑ってる事が多いなと思います。理由は分からないけど。
感動。美しさ。
その正体は全然分からないけど、そんな普通の風景や言葉を僕は記録したくなった。そんなことを考えながら、編集した作品が『瓢亭 | Hisagotei』です。自分が純粋にやりたかった事ってこういう事だったのかもしれない。
今まで「自分に出来る事」ばかり考えて生きてきたけど、「自分がやりたい事」も大切にしようと思える経験だった。そのことを忘れずに生きていきたい。
こちらにも動画を貼っておきます。たった5分間なので、ご覧になっていただければ幸いです。